著者:大川彰一(留学ソムリエ®代表取締役)
これからアメリカでのインターンシップに参加を検討している皆さんは、海外インターンシップが就職に有利に働くかどうかは気になるところではないでしょうか。
今回はアメリカのインターンシップがどの程度、就活に有利に働くのか考察してみたいと思います。
アメリカのインターンシップで身に付くものは?
まずは、インターンシップで得られるスキルを整理して見ていきましょう。
1. ビジネス現場でのコミュニケーションスキル
就活の際に、自身のコミュニケーション力をPRする人は多いと思います。ただし、一言にコミュニケーションと言っても漠然としすぎていますよね。
ここではもう少し具体的な事例を見ていきましょう。
例えば、アメリカでの短期ビジネスインターンシップに参加する大学生が、最初に当たるコミュニケーションの壁は、英語でのオンライン面接です。(ただし日系企業の場合は英語でない場合もあります)
ここでの面接は、おそらく皆さんが初めて経験するグローバルかつオフィシャルなインタビューになるのではないでしょうか。
まずは、この面接をクリアすることは、国際社会の中で自分がどういう人間で何ができるかを自信をもって英語で話せるということを意味します。
また第2の壁としては、現地ホストカンパニーでのミーティングで発言することです。
初めてアメリカのミーティングに参加すると、多くの人はそのスピード感に圧倒されるでしょう。それは英語の速さというより、会議の進行の速さ、職位を超えたチームワークによる進行の速さという感じです。一般的な日本のドメスティックな企業の場合は、会議の時間は2時間以上、インターンが会議に参加することはまずなく、若手社員の発言の機会は上長に求められた時のみというカルチャーも多いのが現状です。
どちらがいい悪いではなく、日本と欧米の間でスピード感の違いは間違いなく存在し、その場で発言することは、その早さに慣れていない日本のインターンにとって壁となるでしょう。
ただし、その中でも準備をしてから会議に臨んだり、最初に発言したりするなどして工夫することで、発言が認められ自身の案が採用されることを経験すると、具体的な成功事例としてコミュニケーションスキルをアピールすることが可能となります。
コミュニケーション・スキルは、タフな環境での成功経験とセットでアピールするのがポイントです。
2. 海外でも通用するチャレンジ精神
次に、就活の中のアピールポイントとして、チャレンジ精神を上げる人もいるでしょう。
アメリカでのインターンシップにおけるチャレンジ精神とはどのようなものでしょうか。
元々アメリカは、困難な状況下でも前向きに挑戦する人を応援する気風があります。言い換えると、ガッツのある人には周りに応援者が付き、プロジェクトの成功度合いが高まるのです。
具体的な例を見ていきましょう。
例えば、ミーティングの中で新規イベントの企画を社員たちが考えている場面があったとして、インターンシップ2週間目のあなたならどうしますか?
A) まだ仕事に慣れていないため黙ってメモを取る
B) 意見を求められた際に発言する
C) 思ったことを積極的に発言する
D) イベントの運営メンバーに立候補する
学校のテストではないため、どれが正解ということはここでは追求しないのですが、アメリカのビジネスシーンで人気が出るタイプはCやDです。
チャレンジ精神という意味で言うと、Dの立候補をすると同時に翌朝にはイベントの英文企画書を上司に提出するタイプのインターン生なら尚よしです。
おそらく企画書を10案出しても1案通ればいい方というのが、リアルな現場感と思いますが、それでもめげずに出すという意気込みが評価されるのです。
3. アメリカのビジネスカルチャーを経験
前回の記事、「大学生に海外インターンシップをおすすめする理由」でもお伝えしましたが、「グローバルな環境での基本的な仕事の進め方を知っているかどうか」というのは、英語力以上に重要なポイントです。
インターンシップ中に感じることのできる日米でのビジネスカルチャーの違いは、ざっと思いつくだけでも次のようなものがあります。
- 出勤、退勤の時間
- 残業に対する概念
- 転職についての考え方
- 出る杭は・・・日本→打たれる、アメリカ→打たれない
- ミーティングのスピード
- MBAホルダーの上司が読みやすい書類のまとめ方
- お昼休みの過ごし方
- 上司や同僚との距離感
- Eメールの書き方
- 週末の過ごし方
長く働いているとさらにその違いは多岐に渡るのですが、上記を経験として知っているだけでも大きなメリットとなります。
例えば、残業についての考え方は日本とアメリカではある意味、真逆の意味を持ちます。
日本では企業にもよりますが、まだ残業して夜遅くまで仕事することで頑張っている!という雰囲気が出たり、上司よりも先に帰ることに罪悪感を感じたりすることがあります。
一方、アメリカの場合は、
残業している=時間内で仕事ができない人
と見られる傾向があります。
ある IT系の会社の事例だと、人事が夜の駐車場に残っている車のナンバーをチェックしている(残業している人をチェックしている)会社などもあります。
こういったカルチャーの違いを知識としてではなく、実際に現場を見ていると就活の際に先方に伝わりやすいのです。
4. プレゼンテーションスキル
オンラインプラットフォームが発達した現在だからこそ、オンラインでもオフラインでも英語でプレゼンテーションする力がより求められています。
ご存知の通り、世界のビジネス上の公用語は英語です。例えばアフリカやインド、東南アジアや中国でビジネスをする際にもオフィシャルな場面で英語は使用されます。
プレゼンの上達のコツは回数をこなすこと、いわゆる場馴れすること、うまいプレゼンから学ぶことなのですが、そういった意味でアメリカでのインターン中にはその機会がふんだんにあります。
アメリカのビジネスパーソンは総じてプレゼンがとても上手いです。単純にパワーポイントやキーノートの見た目が優れているだけでなく、構成や話し方など聞き手(オーディエンス)が分かりやすいように進行していきます。総合的に上手いのです。
一般的なプレゼンテーションは、プレゼンの始めの部分(The introduction)、本論(The main body)、締め、結び(The end)という3つのパートで構成されており、それぞれの役割に合わせたフレーズや内容を配置していくことが第一歩となります。
最近の海外インターンシップの中には、英語でのプレゼンテーションが組み込まれている研修も増えてきました。社会人になる前に、失敗できる環境で学生のうちに経験しておくことをお勧めします。
5. その他得られるスキルは様々
海外インターンシップで得られるスキルは、この他にも
- ストレス耐性
- 異文化適応能力
- 英語のヒアリング力の向上
など様々です。
また本人は帰国時には自覚していないのですが、生活面での細かなスキルも自然と習得しています。
- 空港のチェックイン、飛行機の乗り継ぎ
- 英語による電話の受け答え
- 滞在先の契約
- 現地交通機関の乗り方
- パーティでの振る舞い
- レストランでのオーダーの仕方
- スーパーでの買い物
- 防犯スキルや危機察知能力の向上
これらは一見、ビジネスや就活には関係ないようですが、現地にいたからこそ得られるスキルで、将来的に出張や駐在に行った際に役立ちます。
企業が採用の際、重視するスキルは?
最後に、実際に企業が新卒採用の際に重視する要素はどうなのか見ていきましょう。
下記の表は、一般社団法人 日本経済団体連合会(経団連)が実施している新卒採用に関するアンケート調査結果です。
https://www.keidanren.or.jp/policy/2018/110.pdf
1位 コミュニケーション能力 82.4%
2位 主体性 64.3%
3位 チャレンジ精神 48.9%
いかがでしょうか。
上位3つは、特に海外インターンシップで得られるスキルとほぼ合致していることが分かります。
グローバル企業や外資系企業への就職に有利に働くのはもちろんのこと、日本の企業においても就活の際にアピールできるのです。
企業の人事の人は社会人なので、大学や学生生活での経験以上に、インターンシップの仕事上での経験の話は聞きやすいトピックとなります。就活の際のエントリーシートや自己PRの材料として、最適と言えるでしょう。
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